見積りに…されど見積り:川内カツシ

私共の様な制作請負会社における受発注の流れと致しまして次のように考えます。

  1. 案件の概要を伝え受注意思の確認
  2. 受注可否の意思表明
  3. 見積り依頼(材料提供、仕様提示)※1
  4. 事前見積提示※2
  5. 発注検討(稟議)
  6. 交渉(価格、条件、納期など)
  7. 見積り妥結
  8. 正式発注(発注書発行)
  9. 正式受注(請書発行)
  10. キックオフミーティング
    ・実作業
    ・校正
    ・納品
  11. 清算見積り提示
  12. 清算見積り妥結
  13. ご請求

※1 この場合の材料や仕様と言うのは、実際に制作する際に必要な材料と同等である必要が有ります。例えばイラストを描く際には写真から描くのか3DCADから描くのか、写真の場合は歪みが有るような素人写真なのか綺麗な商品写真なのか。3DCADの場合は全てのパーツが揃っているか、提供されるデータ形式は何かなどが必要です。何故なら材料が仮のものであったり(最初から仮の材料であることが提示して有ればOK)、仕様が決まっていない又は原稿が無い状況では、正確にお見積りが出来ないからです。

※2 材料と仕様と原稿(無い場合は参考となるモデルの取説など)などを元に、要求された納品物の制作にかかる制作費用をお見積りいたします。この見積もり作業と言うのはスキルを要します。提供された材料と仕様から掛かるであろう作業工数(作業時間)を見積るのは、経験が多い方がより実工数に近い数字を出せるからです。

故に、「ザックリいくらですか?」とか口頭レベルで「こんな感じの」ってのは困ります。まぁ出せなくはないのですが、気持ちの入らない見積りになってしまいます。私の経験から、そういう見積り依頼は大体次に繋がらないんですよね。。。例え見積りと言えども、やる以上は魂込めて出したいじゃないですか。 でも時々私の自己満足で、お客様はそれほど望んでいないのではないかと思える出来事が有ります。

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お久しぶりのお客様から電話が有り、
「お久しぶりです。○○です」
「お世話になっております。こちらこそすっかりご無沙汰してしまい恐縮です」
少々の世間話のあと、
「お見積りをお願いしたいのですが」
「はい、ありがとうございます。製品は何でしょうか」
「それはちょっとまだ・・・ゴニョゴニョ」 嫌な感じ・・・
「え?製品の情報が無いのですか?」
「ええ、今のところは・・・ゴニョゴニョ」 更に嫌な感じ・・・気を取り直して
「材料は何でしょうか」
「素人が撮った写真か3DCADです」
「3DCADのデータ形式は何ですか?」
「多分、指定すればどの形式でも出してくれます」  怪しい・・・
「仕様や原稿は揃っていますか?」
「いいえ、何も無いのですが、1点どのくらいかなぁと」 ほぼアウト・・・
「製品が何か分からない、材料が何かも分からない、仕様も原稿も無い状況でお見積りするのは難しいですよ」
「実はイラストを描き起こさずに写真をそのまま掲載しても良いかとも思っているんですが、それではマズいって事になったら幾らくらいかかるのかなぁと思いまして」
「すみません、素人が撮った写真と仰いましたよね?それと私共のイラストを天秤に掛けられるくらいなら、写真を掲載された方が宜しいんじゃないでしょうか?」
「そうですかぁ・・・でも大体で良いんですけど・・・あぁ、、、えぇ〜っと、お掃除ロボットとか有るじゃないですか?あんな感じと思ってください。」


頭痛がしてきました。(>_<)
早くこの時間の無駄の様な電話を切りたい。俺にはやるべき仕事が待っている。
確かに、勢いの有った当時は若干の仕事は流れていましたが、近年は飛ぶ鳥が落ちる勢いで激減し、ほぼほぼゼロ。それでも当時仲の良かったご担当の方とは今もお付き合いしております。。。

ココである人の言葉が蘇る。

「川内さん、学問は根性、仕事は義理人情ですよ!」

ですよね。。。お客様が適当な数字を望んでおられるのですから、せめてご要望通りお出ししましょう。

「1カット1,500円から36,000円でしょうか」
「割と幅がりますね。ありがとうございました」
「いいえ、また何かあればお声掛けください」と言って電話を切りました。

 

ごっつ疲れました。

勿論、、会話はべたべたの関西弁で終始しております^^


 

と、ここまでの会話はフィクションで御座います。

 

 

「学問は根性、仕事は義理人情!」

さ、頑張ろ!


 

私自身もお見積りをお願いする事が多いですから気を付けようと思います。
見積りを依頼した以上、受注の可否連絡も含めて心の通うやりとりを心がけます。
(出来て無かったら注意してね)

 

2015年7月1日
企画営業部
川内カツシ