テクニカルイラストの価格:川内カツシ

テクニカルイラストの価格って何を基準に決めているのでしょう?

よく、「1カット 幾らですか?」とお問い合わせを頂きますが、即答できないのです。。。
何故ならテクニカルイラストの制作価格は時間工数で算出しているからです。これは、何もテクニカルイラスト制作に限った事ではなく、地図制作や3DCG制作も然りです。

一般的な価格の決定は概ね、
小売業の場合:販売価格=仕入れ価格+予定利益
製造業の場合:販売価格=製造原価+販売管理費+予定利益(それぞれ1個あたり)
となりますよね。

テクニカルイラスト、地図、3DCG、DTP、ライティングなどドキュメント制作の場合も、
販売価格=制作原価+販売管理費+予定利益
となります。
弊社の場合概ね、原価とは社内加工費+外注加工費に加え、材料費(使用するパソコンやプリンターなどのハードウェアとアプリケーションやフォントなどのソフトウェアの購入代金と保守メンテナンス、消耗品購入代金を指します)、販売管理費は一般的な営業費と通信管理費、支給ざれた材料の返却やドラフトの納品送料に該当します。
原価である加工費は年間総加工時間を年間の総作業時間で割って1時間当たりの加工単価/人・時を算出します。
ですので、求められるクォリティ、納期などが制作価格に大きく影響してまいります。

出来上がったものだけを見て「高い・安い」の判断が難しい理由として、制作に必要な要素と情報量の過不足が有ります。

・対象となる物、人、サービスなどの背景や利用者のターゲット
・原稿
・写真or図面or現物
・制作の仕様
・流用データ
・納期

などが必須要素です。

【対象となる物、人、サービスなどの背景や利用者のターゲット】
製品の特長、用途、ターゲットユーザー、過去のマニュアルからの改善課題、現行マニュアル、など情報の多い方がより則したテクニカルイラスト制作が可能です。

【原稿】※イラストのみご発注の場合
何度もやり取りをしていると、ライターさんの癖とか言わんとしている事が読み取れるのですが、初仕事の場合は丁寧な原稿の方がお互いにロスが少ないです。見る原稿は極力少なく、「簡潔明瞭に情報を整理する」のはお手の物の筈ですので。あと、手書きの場合、達筆である必要は有りませんが最低限一目で読み取れる文字を書いてくださると工数が削減できます。

【写真or図面or現物】
最近はCADデータをご提供いただくケースが多いのですが、データの新旧をご確認頂けるとロスが少ないです。最終モデルなのか設計変更の可能性が有るか否かを設計部署にてご確認ください。尚、弊社で読み込み可能な形式はコチラです。
パーツリストを作成する場合は組図面とリストも必ずご提供ください。組み付け要領書などからのパーツリスト制作も可能ですが工数アップの要因となります。
写真の場合は原稿の流れに沿って描画する角度にカメラを固定し、出来るだけ歪が出ないように撮影してください。写真の良し悪しが工数に直結するといっても過言ではありません(キッパリ)

【制作の仕様】
大きさ、線幅、白抜きの有無、矢印などのフォーマット、点線のピッチ、キャプションのフォント名と大きさ、ファイル名の付け方、保存形式、バージョン、レイヤーの構造とレイヤー名、、、などなど、テクニカルイラストを制作する上で必須の仕様です。 大きさに関しましては張り込む原寸でお伝えください。よく、適当な大きさで書いといてくれれば、あとは適当に拡大縮小するから・・・ってお聞きすることが有りますがやめてください。レイアウトされた時に最適な視認状態を再現するために最適な描画を行うためです。適当に・・・と言う言葉にはビジネスパートナーとして尊敬できません。

【流用データ】
マイナーチェンジなので旧モデルのデータを流用して、大きな変更部分だけを差し換えることでコスト削減が出来ます。コスト削減意識を持たれていることに何ら異議を唱えるつもりは御座いません。ただ、支給いただく材料(写真、画像など)の向きや角度を旧モデルのマニュアルに合わせてご用意ください。そうする事で計画通りのコストダウンにご協力できます。
「ちょっと向きと角度が違うのだけど・・・」
お任せください!! 限られた情報から作り上げてこそプロですから。出来ませんとは言いません(大概の場合)・・・が、それには工数が発生することをご理解ください。

【納期】
マニュアルがユーザーのための物であり、製品の一部であることを前提に言うなれば出来るだけ確保してください(出来ないと分かっていますが一応主張します)。 お客様やユーザーにご迷惑をお掛けする可能性は極力つぶして起きたいと考えます(念のために主張しておきます)。
無理なスケジュールに応えてこそテクノアートであると認識しておりますが、私共の様な弱小企業にも労基を遵守する義務が御座います。納期短縮による人的負荷は工数増加による加工原価に跳ね返ってまいります(さり気無く主張しておきます)。

※まとめ※
工数=制作費
と捉えるとするならば、分かりやすい原稿、適正な角度と向きの写真、最終モデルのCADデータ、詳細な仕様、可能な限りの納期確保、、、などの条件付けによる工数削減(コスト削減)に繋げられると考えます。ただ、マニュアルの制作現場でこれら全てが整うとは認識しておりませんので支給材料の不足は私共でカバー致しますし、全てお任せ頂くならマニュアルの企画段階から参画させて頂きます。

仕事を効率よく作業化出来れば工数削減に繋がり、負荷がかかれば工数が逆を示す(コスト高)という事になります。

最期に弊社の基本となる工数について書き留めておきます。

4,500円/人・時

を基準価格とし、業務の難易度やスケジュールによって上下変動いたします。

 

これからも色んな意味で”テクノアートなら何とかしてくれるだろう”という期待を裏切らないように精進して参ります。

 

2013年2月12日
企画営業部
川内カツシ
テクノアートkawauchi