生成AIで手軽にデザイン案を作れる時代になりました。ですが、見た目は整っていても印刷には向かないデータが少なくありません。今回は、印刷現場でよくある5つの落とし穴を軽く整理します。
生成AIを使えば、チラシや案内物のたたき台をかなり手軽に作れるようになりました。
スピードも速いですし、ぱっと見はそれなりに整って見えます。ここは素直に便利です。
ただ、印刷の現場から見ると、「見た目はできているけれど、このままでは印刷に向かない」というデータがかなり増えています。
作った側にしてみれば、
「ちゃんと形になっているのに、何が問題なの?」
という感覚かもしれません。関西弁だと「え?何がアカンの?ちゃんとプリンターで印刷できてるやん」となります。
でも実際には、画面で見るデザインと、紙として仕上がるデザインは、見ているポイントが少し違います。
今回は、AIで作ったデザインデータにありがちな5つの落とし穴を、軽めに整理してみます。

1.トリムマーク(トンボ)がない
印刷では、どこで断裁するかを示す目印が必要です。
これがないと、仕上がりサイズが曖昧になります。
作った側からすると見た目に関係ないので省きがちですが、印刷側からすると地味に困るポイントです。
料理で言えば、皿はできているのに盛り付け位置が決まっていない感じです。
2.塗り足しがない
背景色や写真を紙の端まで入れたい場合、仕上がりサイズより少し外側まで絵柄を伸ばしておく必要があります。これが塗り足しです。
これがないと、断裁時のズレで紙のフチに白が出ることがあります。
画面上では気付きにくいのですが、印刷すると結構目立ちます。
3.写真やロゴの解像度が低い
AIで作った案に、Webから拾った画像や小さいロゴをそのまま置いているケースは本当によくあります。
画面では何となく見えていても、印刷すると粗さが一気に出ます。
特にロゴがぼやけると、会社やブランドの印象まで安っぽく見えてしまいます。
「見える」と「使える」は別物。
ここは地味ですが重要です。
4.コントラストが低くて読みにくい
最近よくあるのが、淡い背景に淡い文字を載せた、雰囲気重視のデザインです。
画面ではおしゃれに見えても、紙では読みにくくなることが少なくありません。
見る人は、デザインの意図より先に
「読みづらい」
と感じます。
印刷物はアート作品ではなく、まず情報を伝えるものです。
おしゃれでも、読めなければ仕事としては負けです。ここはかなりシビアです。
5.情報の優先順位が整理されていない
AIで作ったレイアウトにありがちなのが、
「全部それっぽく置いてあるけれど、何を一番伝えたいのか分からない」
という状態です。
タイトル、説明、日時、連絡先、強調したい言葉。
これらの強弱が整理されていないと、見た人はどこを読めばいいか迷います。
デザインは飾りではなく、視線を誘導する設計です。
ここが弱いと、見た目は派手でも内容が頭に入りません。
では、どうするのが現実的か
ここで大事なのは、
「AIで作るのが悪い」わけではない
ということです。
むしろ、たたき台やアイデア出しとしてはかなり優秀です。
問題は、それをそのまま印刷用データだと思ってしまうことです。
いま現実的なのは、
- たたき台は社内やAIで作る
- 印刷に出す前にプロが整える
この分担です。
これならスピードも確保できますし、仕上がり品質も守れます。
ゼロから全部依頼するか、自社で全部やるか。
その二択ではありません。
これからのプロの役割
これからの制作会社やデザイナーに求められるのは、
「最初から全部こちらに任せてください」と言うことだけではないはずです。
クライアントが作った案を見て、
どこが印刷に向いていないのか。
どこを直せば伝わる印刷物になるのか。
そこを分かりやすく整理して、仕上がる形に持っていく。
この役割は、むしろ今後ますます大事になります。

AIで誰でも作れる時代になったからこそ、
最後に“使える形”に仕上げる力が、プロの価値になる。
そういう時代に入ったのだと思います。
AIでデザイン案を作るのは、もう普通のことです。
ただし、見た目ができていることと、印刷に使えることは別です。
トンボがない。
塗り足しがない。
画像が粗い。
読みにくい。
情報整理が弱い。
このあたりを甘く見ると、紙になった瞬間にボロが出ます。
逆に言えば、そこをきちんと整えるだけで、印刷物の完成度はかなり変わります。
AIを使うこと自体は大歓迎。
でも最後は、印刷と伝わり方を分かっている人間の目が必要です。
そこは、まだAIに丸投げできません。
紙は意外と、甘くないです。フフフンッ!
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