引用元(元記事)
「最新機能が多すぎて読めません」 クルマの取扱説明書、もはや“辞書”化? 8割以上が通読断念の現実か(Merkmal|2026年1月5日)
https://merkmal-biz.jp/post/107747
取説の役割は「通読」ではなく「困った時に助けること」
元記事が示す通り、取扱説明書は車両の高度化で分厚くなり、通読されにくい現実があります。
テクノアートとしては、この流れを基本的に肯定します。取説は「読破させる本」ではなく、困った瞬間に迷わず解決へ導く“安全装置”であるべきだからです。
その昔、携帯電話が世に広く普及されていた時代、その取説は正に無用の長物のように分厚い辞典のようでしたね。 何台も入れ替えましたが一度としてページを捲った事は有りませんでした。。。
“辞書化”は必然、課題は「到達性」
通読率18%が示すのは「辞書として使う」現実
国交省の調査(2008年)では、「すべて読む」18.3%、「必要箇所だけ読む」66.2%という結果が紹介されています。
最大派閥が「必要箇所だけ読む」である以上、取説は最初から“辞書用途”で設計されるべきです。
電子化の本質は「PDF化」ではなく「情報アクセス設計」
元記事は、電子版・動画などで検索性や更新性を高める動きを例示しています。
ここで重要なのは、媒体の変更ではなく、必要な情報へ最短で到達できる導線では?と考えます。
OTA時代、取説は「更新され続ける情報」になる
コネクテッドやOTA(Over The Air)により、取説は固定された冊子ではなく、運用される情報へ変わる――元記事はこの変化を指摘しています。
制作も「納品して終わり」から「更新に耐える設計」へ移行します。

メーカー/制作担当者が「受け入れる」べき変化(業界全体の視点)
「章立て」から「症状・目的」起点の情報設計へ
ユーザーは目次から読み進めません。「警告灯」「設定」「繋がらない」など、困りごとから入ります。だから設計の中心は、章の整合ではなく検索・誘導・分岐です。
ワンソース・マルチユース前提(構造化+タグ)が標準になる
電子(HTML/アプリ)・PDF・印刷・動画が並存する以上、属人編集は破綻します。JAGAT(日本印刷技術協会)ではXML/CSS組版や生成AI活用といったテーマで議論・研究が進んでいます。“原稿”ではなく“部品化されたコンテンツ”として管理する発想が必要です。
動画は「置き換え」ではなく「補助線」。安全情報の骨格は崩せない
動画は理解を早めますが、条件分岐や注意事項の網羅には弱点があります。
経産省も製品安全の観点から、取扱説明書を読んで注意を守ることを明確に示しています。
だから動画は入口、詳細は必ず参照できる形で残す――これが現実解です。 ただし、製品の施工動画などは異なり、ユーザー(施工者)の理解を深め、施工間違いや部品の損傷を防ぐ役割を果たしていると考えています。テクノアートでは製品の施工動画をフルCGで制作し、クライアント様から高い評価を得ています。

評価軸は「冊子の出来」から「使用情報(UX)の出来」へ
JTCA(テクニカルコミュニケーター協会)は、取説などの使用情報を評価・表彰する枠組み(ジャパンマニュアルアワード)を運営しています。
今後は「ページ数」ではなく、迷子にしない設計が評価される時代です。
テクノアートとして「受け入れる」べき変化(実務の視点)
テクノアートは、ダイハツ工業向けでは主にテクニカルイラストを担当し、取説全体制作のすべてに関わっているわけではありません。
一方で、他の製品ではマニュアル全体の制作も請け負っています。両方の経験を踏まえ、制作現場としての現実的な変化を整理します。
テクニカルイラストを「挿絵」から「検索できる部品」へ
電子取説の比重が増えるほど、図は“飾り”ではなくUIになります。
実務としては、次の設計が効くと考えています。
- 図版と手順が迷わず紐づく 部品ID/名称の統一
- 状態違いに耐える レイヤー設計
- スマホ前提の 拡大耐性(可読性)
- 図→該当手順へ飛べる リンク前提の図版設計
更新運用に耐える制作(差分管理が武器になる)
OTAで機能が変わるなら、図も手順も変わり得ます。
毎回作り直すのではなく、差分だけを速く・正確に直す体制が価値になります。
- 版管理(履歴が追える)
- 再利用パーツのライブラリ化
- 影響範囲を特定できる命名・構造
「紙×デジタル」を前提に役割分担を磨く
紙には通信に左右されない強みがあります。
印刷業界側も、ペーパーメディアとデジタルの融合・高付加価値化を掲げています。
現実的には、
- 紙:安全・緊急・基本(薄い核)
- 電子:検索・更新・深掘り
という二層設計が合理的です。

“辞書化”の時代に必要なのは「迷子ゼロ」の設計
元記事が描く“辞書化”は、取説の敗北ではなく、車両が進化した結果です。
だから取説も、探せる・分かる・更新できる設計へ進化させる必要があります。
テクノアートは、テクニカルイラストとマニュアル制作の両面から、メーカーの安全・CS・ブランド体験に直結する“使用情報”を支えていきます。
企画営業部 川内カツシ
テクニカルイラスト | CG | WEB開発
マニュアル制作 | 地図編集
株式会社テクノアート
大阪府 池田市


