ファンタジーは誰の心にも存在する:YUKIKO

私は子どもの頃から読書が趣味で、今も、書店へ行く度に気になる本を探し、たまに図書館へも出かけます。現在は、書店の文庫本や新書のコーナーでよく目につく推理小説を読むことが多いですが、小学生の頃は、学校の図書室や図書館でみつけたファンタジーをよく読んでいました。

図書室の児童文学のコーナーには、グリムやアンデルセンの童話集を始め、未知の本が並んでいて、時に友達と「怖い話」シリーズの本を怖いものみたさで読んだりする傍ら、気になったタイトルの本を片端から読んでいきました。

「児童文学」「児童書」と名前がついていても、今でも、読み返したいと思う本があり、実際に、大人になってから、子どもの頃に読んだ本を、児童書コーナーで探して購入したこともあります。

その一つが、「メアリー・ポピンズ」シリーズです。
『風に乗ってきたメアリー・ポピンズ』から、『公園のメアリー・ポピンズ』まで、複数冊あるシリーズで、全体に漂う不思議さ、主人公である子どもたちとメアリー・ポピンズがよく出かける公園の季節ごとの暖かみある風景、物語の中で起こる出来事の不思議さに全く劣らない不思議な登場人物たち…

子どもたちは、メアリー・ポピンズと出会い、過ごす中で様々な不思議な体験をしますが、たとえばその翌日などに、出来事についてメアリー・ポピンズに訪ねても、淡々とした態度のメアリー・ポピンズは、不思議な出来事があったことなど決して認めようとしません。

あまりしつこく訊ねると、いつものように、やや冷淡な態度で子どもたちを注意します。しかし、子どもたちは、ほんのちょっとした証拠を見つけ、確かに不思議な出来事はあったのだということを、自分たちの胸の中だけにとどめておきます…。

ファンタジーの物語の中で起こるような不思議な出来事は、科学では証明できず、現実の世界では、それらは「物語の中だけの出来事」とされています。

しかし、たとえば深海などに未知の生物がたくさんいると聞いたりした時、いわゆる「科学では証明できない出来事」、現在知っている方法では発見できない世界が存在するのでは…と、ふと思ったりします。

本を読んだのはかなり前ですが、今も、強い風が吹いている日に、強い風に乗ってやってきたメアリー・ポピンズのことをふいに思い出すことがあります。

空に浮かぶ雲を見上げた時、ドラえもんの「雲の王国」のような世界が、もしかするとあるのではないかと考えたり…
そうした世界の存在を信じているわけではありませんが、「あるのかもしれない」と考えると、心に、少し、面白さが起こります。

一見、この世の中には、ファンタジーの世界は実在しないように思えますが、本だけでなく、映画やテレビアニメ、CGと、ファンタジー作品は非常にたくさんあります。それらは、全て、人が生み出したものだと考えると、少なくとも、人の心の中には無数に存在するのだなぁと思ったりします。

2011年12月1日
地図製作部 YUKIKO