名刺にドラマ有り:川内カツシ

名刺の整理をしていると、そこには自分しか知らないドラマが沢山ある事に気付いた。

平成6年9月1日に新設されたばかりの企画営業部の所属として入社した私の前職は全くの畑違いである陸上自衛官だった。

新設された部署に上司はいない。社長直轄の社員として新規顧客の獲得に向けて動き出したのである。
最初の半年は社内でパソコン(MS-DOS)の事やMacについて勉強し、実際に写真のトレースをみっちり勉強した記憶がある。先輩社員から何度もアカ入れ(修正)されては書きなおしたものである。一通りの勉強(と言っても浅く広く)を終えて、本来の新規獲得業務へ向けて具体的な一歩を踏み出すことになる。

先ずはリスト作成である。今でこそブロードバンドが普及し、企業のWEBサイトが充実しており誰もがメールアドレスを保有している時代だが、当時は訪問先の情報を集めるのにも苦労を余儀なくされた。
もっぱらタウンワークや新聞の企業広告を頼りに訪問先リストを作ったものだった。

さて、リストは出来上がった。
で?どうやって話をすれば良い? 資料は?
はっきり言って何も分からないのである。社内で教えて貰おうにも私以外は全員がテクニカルイラストを描く職人である。 営業なんて全く、クマのプーさん状態なのだ。。。

雑誌や書籍などを読み漁り、他社の会社案内や営業マンなどから知識を得るしかなかった。セールストークなんてのも当然ながら教材は無い。社長や取引先の方との会話の中から盗み出しては自分なりの台本を組み立てていった。

準備は整った。
後は突撃有るのみ。

これが実戦ならば、小銃に着剣し、身を大地に伏せ、弾を装填し、突撃ラッパが高らかに鳴るのを今か今かと待っている状況である。

 

 

さて、突撃ラッパは私の耳元で勝ち戦は間違いないと信じるに足る、勇ましい音色を鳴り響かせたのであった。

 

 

つづく。。。えーーーーーーっ!! つづくの〜?

2011年9月30日
企画営業部
川内カツシ