業務マニュアルの在り方について:川内カツシ

製品の取り扱い情報の改定については再印刷が行われ、緊急時には貼り紙や黄紙といった対応(本当はやりたくない)もある。ところが業務マニュアルというカテゴリになると改訂の頻度は激減し、下手をすると完成後一度も改訂されないまま廃棄される悲運なマニュアルもあるようだ。

マニュアルというのは現状を変えるために有るわけで、完成した瞬間から改訂することを前提としなければならないと考えるべきだが、マニュアル制作を命ぜられた者は完成させることを最終目標とし、この先何年もの間改訂しなくても色あせないと思い込んでいる。

完成されたマニュアルを使って現場教育を行い、業務を行う上でのマニュアルの位置づけと今後も現場のフィードバックによりマニュアルを改訂していくことをスタッフ全員に認識させる必要がある。

より良いサービスの提供、業務の円滑さや採算性を考えれば現場からのフィードバックとその検証は必須であり、発展するためには変わることを恐れてはならない。
ややもすれば、変えること=面倒くさい、責任の重圧というネガティブな捉え方をしがちだが、この思考を変えない限り個人も企業も発展は望めないのではないか。

時には作ったものを根底からぶっ壊して作り直すくらいの気概を、経営者も、消費者も望んでいる。業務マニュアルは完成すれば任務を終え、スタッフに与えれば後は万事円滑に物事が運ぶという考えは組織停滞の要因となりそうだ。

先日のレビューに書いた畑村洋太郎さんの著書にも「マニュアルは変えるためにある」と記されてあったのを思い出した。

問題意識、改善意欲というものは我々ドキュメント制作の現場においては、個人々が常駐させておくべき素養である_。

2009年5月14日
企画営業部  川内カツシ