書評
中高生に向けたメッセージ「なぜ学び何を学のか何のために学ぶのか」
この本は大人こそ読むべき本だと思いました。
受験戦争をくぐり抜け、優秀な成績で一流の学校へ行き大手上場企業に就職したり
起業している人でも「なるほど」と納得できる部分は有るのではないかと思います。
親が言うから受験した。周りが進学するからとりあえず・・・
“何のために”を充分に理解しないまま受験し就職した人は少なからずいるのではないかと
思うのです。
国語、数学、英語、理科、社会、心理の分野で7人の講師が「なぜ学び、何を学ぶのか」
について分かり易く解いてくれています。
タイトルの通り16歳という年代を対象にしているのですが、本の帯には「大人が読んでも
面白い!」と書いてあったので思わず買って読むことにしました。
方程式や二次関数なんて大人になっても使わない、高校・大学の受験科目に有るから、
就職するために仕方なく勉強するんだ、というのが大抵自分への理由付けだと思うんです。
私自身は受験とは無縁だったし、単に分からないから算数嫌いでしたけど(^_^;)
講師曰く、「数学的思考」つまりモノの考え方や理論の進め方等を学ぶのが、【数学】という
学問なのだと。
数学力とは「真実を見抜く力」だと言っています。
ここで例題です。
【例題1】
35×18=?
通常の筆算で計算しているとそれなりに時間がかかりますよね。
それがほんの数秒で暗算できる計算視力を身につける事で先に書いた数学的思考に
繋がるのだそうです。
ここで注目するのは35が5の倍数である事。そして18が偶数であること。
これが見えてしまえば次のような展開が可能になります。
35×18=35×(2×9)
=(35×2)×9
=70×9
=630
【例題2】
228×5=?
ここでは×5と言う部分に注目します。5という数字は10÷2のことですから、「×5」とは2で
割ったものを10倍したものと言うことになります。つまり、
228×5=228×(10÷2)
=(228÷2)×10
=1140
先に2で割って、あとで10倍する。これが「×5」のかしこい解き方です。
【例題3】
31÷25=?
「÷25」とは「×4÷100」の事です。
つまり、
31÷25=31×4÷100
124÷100=1.24
という答えが導きだされます。【例題2】の「×5」では先に2で割ってあとから10倍したのに
対し、「÷25」の時には先に4倍して、それを100で割るのです。
こう言った事の訓練で「数学的思考」や「分析力」が身につくのだそうです。
【国語】
言葉と言うのは「言語能力」と「コミュニケーション能力」の二つの側面から見る事が出来る。
人間が言葉と御言う物を持っているときに、その言葉によって自分をしっかりと表現し、
また誰かの言葉を理解できるかといった能力の事を「言語能力」という。また、言語野力を
ベースにして自分を「伝える」事が出来るかどうか。小説やビジネス文書などにした時に
相手(読み手)に読んでもらえるか(理解してもらえるか)どうか。これらが「コミュニケーション
能力」である、と。
大切なのは「美しさ」よりも「正しさ」であるとも書いています。小学生の作文に見られる例で
「今日遠足に行きました。お花がきれいでした。とっても気持ち良かったです。」といった
分を補うと「今日」とは何月何日の事なのか、「遠足」は度何処へ行ったのか、誰とどのように
して行ったのか、お花は何色でどのくらい咲いていたのか、何が気持ち良かったのか。
こう言った事を正確に表現することで読み手に「伝える」「伝わる」といったコミュニケーション
が行われるのだと。
私自身の仕事柄ビジネス文書を書く機会が非常に多く、入社以来どのようにして文書を
書くのかということについて色々と勉強してきたつもりです。クライアントからのメールで
自分の稚拙な文章能力を恥じた事も多くあります。最近ではお陰様で幾分ビジネス文書に
求められる文章や構成の肝を少し理解しつつあるのか、コミュニケーションにおいて不安を
感じる事は減っているように思います。こうやってブログと言うツールに接することで自分の
文章能力も向上されているのかなとも思います。
ビジネス文書において求められる事は先に書いた「正しく」且つ「必要な事」だけにフォーカス
して書く事だと思います。報告書などが良い例で、くどくどと経緯を書いたり、言い訳特に
自分や同僚を保護するような言い回しは読み手にマイナスイメージを与えてしまうものです。
【心理(課外授業)】
最後の科目【心理】においても気付きを得ました。社会人にも当てはまる事が多く、まさに
大人が読んでも面白い一冊でした。
他の教科も得るところは沢山有ったので我が子がもう少し育った時に勧めてみようと思います。
少し長くなりましたので続きは別の機会にします。
「そ、そういうことだったのか!」
本書を読みながら何度口ずさんだ事か分かりません。
これから2回目の読み返しをしたいと思います。
2009年9月13日
企画営業部 川内カツシ

