政府が掲げる「DX推進」。しかしその掛け声の裏で、私たちはいまだに紙と格闘している。電子申請が整備されていると思いきや、「原本を郵送してください」「押印された書面を提出してください」「収入印紙を貼って割り印お願いします」と言われ、結局プリンターの前に立ち、郵便局へ収入印紙を買いに行く羽目になる。

矛盾しているのは、これを求めてくるのがまさに“行政機関”であることだ。DX推進法の理念は立派だが、現場の運用は古い慣習に縛られている。現場の担当者にDX推進の話や電子サインにより収入印紙が不要な事を伝えても、それを管理する総務や契約部門が頑なに紙を求めて来るのである。間に入って頂いてるご担当者様が気の毒でならない。せめて両者の橋渡しとなる電子署名やクラウド管理の仕組みが、管理部門に1日でも早く広く浸透する事を願うばかりである。

デジタル化を阻むのは技術ではなく、意識と仕組みだ。技術は十分なのに、ボトルネックが紙にしがみ付いているとさえ思えてならない――これが日本型DXの「見えない壁」だ。企業側も諦めず、紙業務を減らす努力を続けるしかない。行政と民間の“紙の壁”を越える日は、まだ少し先のようだ。。。

